酔古堂剣掃 / 集倩・春飲は郊に宜し
法飲宜舒,放飲宜雅,病飲宜小,愁飲宜醉,春飲宜郊,夏飲宜庭,秋飲宜舟,冬飲宜室,夜飲宜月。
新字:法飲宜舒,放飲宜雅,病飲宜小,愁飲宜酔,春飲宜郊,夏飲宜庭,秋飲宜舟,冬飲宜室,夜飲宜月。
書き下し
法飲は舒なるに宜しく、放飲は雅なるに宜しく、病飲は小なるに宜しく、愁飲は醉ふに宜しく、春飲は郊に宜しく、夏飲は庭に宜しく、秋飲は舟に宜しく、冬飲は室に宜しく、夜飲は月に宜し。
現代語訳
礼儀正しく飲むときはゆったりとするのがよく、思うままに飲むときは品よくするのがよく、病気のときに飲むなら少しにするのがよく、憂いがあるときに飲むなら酔うのがよく、春は郊外で飲むのがよく、夏は庭で飲むのがよく、秋は舟で飲むのがよく、冬は部屋で飲むのがよく、夜は月のもとで飲むのがよいのです。
解説
酒の飲み方を、状況と季節ごとに九つ並べた一則です。前半は飲む人の状態によって分けています。法飲は宴席で作法どおりに飲むことで、堅くなりすぎずゆったりと、放飲は気ままに飲むことで、乱れすぎず品よく、と、それぞれ行き過ぎを戒めています。病気のときは控えめに、愁いのあるときはいっそ酔ってしまえ、というのも人情にかなっています。後半は季節と時間で分け、春の郊外、夏の庭、秋の舟、冬の部屋、夜の月と、それぞれの楽しみ方にふさわしい場所を挙げています。宜の字を九回重ねるリズムが心地よく、読むだけで楽しくなる一則です。酒に限らず、何ごとも時と場合と自分の状態に合わせて加減するのが上手な楽しみ方だ、という知恵が込められています。
この章句が説くこと
飲酒季節節度風雅時機
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