酔古堂剣掃 / 集倩・門を閉ぢて鶴を放つ
分韻題詩,花前酒後;閉門放鶴,主去客來。
新字:分韻題詩,花前酒後;閉門放鶴,主去客来。
書き下し
韻を分かちて詩を題す、花前酒後。 門を閉ぢて鶴を放つ、主去りて客來たる。
現代語訳
韻字を分け合って詩を作るのは、花の前、酒の後。門を閉ざして鶴を放つのは、主人が出かけ、客がやってきたときです。
解説
文人の暮らしの二つの場面を、簡潔な対句で描いた一則です。分韻は詩会で韻に使う字をくじなどで分け合い、それぞれがその字を使って詩を作る遊びです。花の前で、酒を飲んだ後に、興に乗って詩を作り合う楽しさが伝わります。後半の閉門放鶴は、北宋の隠者林逋の逸話を思わせます。林逋は西湖の孤山に住み、梅を妻とし鶴を子とすると言われた人で、舟で出かけている間に客が来ると、童子が鶴を放ち、それを見た林逋が戻ってきたと伝えられます。主去客来は、まさにその場面を言っているのでしょう。鶴が主人と客をつなぐ知らせの役を果たしているところに、隠者の暮らしの風雅がにじみます。人との待ち合わせにも、こうした遊び心があると楽しいものです。
この章句が説くこと
詩隠逸鶴交友風雅
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