酔古堂剣掃 / 集景・花落つれば灑然として得る有り
雲收便悠然共遊,雨滴便冷然俱清;鳥啼便欣然有會,花落便灑然有得。
新字:雲収便悠然共遊,雨滴便冷然倶清;鳥啼便欣然有会,花落便灑然有得。
書き下し
雲收まれば便ち悠然として共に遊び、雨滴れば便ち冷然として俱に清く、鳥啼けば便ち欣然として會する有り、花落つれば便ち灑然として得る有り。
現代語訳
雲が収まれば、ゆったりとした心で雲とともに遊び、雨がしたたれば、ひんやりとした心で雨とともに清らかになり、鳥が鳴けば、うれしい心で通じ合うものがあり、花が散れば、さっぱりとした心で得るものがあります。
解説
雲、雨、鳥、花という四つの自然の出来事に、それぞれ心を合わせて応じる姿を描いた一則です。便ちという言葉を四回くり返し、自然の変化に即座に、素直に心が応じていく様子を表しています。悠然、冷然、欣然、灑然と、それぞれの出来事にふさわしい心の状態が選ばれています。雲が晴れればのびやかに、雨が降ればすがすがしく、鳥が鳴けば嬉しく、花が散っても嘆くのではなく、さっぱりと何かを得るのです。灑然は、さっぱりとしてこだわりのないさまです。とくに花が散ることを損失ではなく得るものとして受け止めているところに、この一則の深みがあります。起こる出来事を、そのつど素直に受け止められる心を持ちたいものです。
この章句が説くこと
自然心境閑適無常受容
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