酔古堂剣掃 / 集倩・意中の人
心中事,眼中景,意中人。
書き下し
心中の事、眼中の景、意中の人。
現代語訳
心の中にある事がら、目の中にある景色、思いの中にいる人。
解説
わずか九字で、人の心を占める三つのものを並べた一則です。心中之事は胸にしまっている思いや気がかり、眼中之景は目の前に見えている風景、意中之人は心に思っている人、慕わしく思う相手を指します。何も説明を加えず、名詞を三つ並べただけですが、その余白にさまざまな思いが広がります。事と景と人は、詩文の題材の三つの柱とも言えますし、人生を彩る三つの要素とも言えます。とくに意中の人という言葉は、今でも好きな人を指す言い方として使われています。この集が美しさを集めたものであることを思えば、心と目と思いの三つがそろったときに、最も美しい一瞬が生まれるという含みも読み取れます。今の自分にとっての事、景、人は何かを、静かに思い浮かべてみたくなる句です。
この章句が説くこと
情景恋情心風雅簡潔
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