酔古堂剣掃 / 集倩・半床の松月
雙杵茶煙,具載陸君之竈;半床松月,且窺楊子之書。
新字:双杵茶煙,具載陸君之竈;半床松月,且窺楊子之書。
書き下し
雙杵の茶煙、具さに陸君の竈に載す。 半床の松月、且つ楊子の書を窺ふ。
現代語訳
二本の杵で茶をつく音と茶を煮る煙、そのすべてが陸君の竈にそろっています。寝台の半ばを照らす松越しの月の光のもとで、しばらく楊子の書をのぞいてみます。
解説
茶と読書という文人の二つの楽しみを、古人の名に託して描いた一則です。陸君は、茶の聖と呼ばれ『茶経』を著した唐の陸羽を指すと見られます。当時の茶は固めた茶を杵でつき砕いて煮たので、雙杵の音と茶の煙が、茶人の竈の周りの光景になります。楊子は揚子とも書かれ、前漢の揚雄を指すと考えられます。揚雄は『法言』や『太玄』を著し、世に知られなくても静かに著述を続けた学者として、後の文人に敬慕されました。半床松月は、松の枝越しに差し込む月の光が寝台の半分を照らしている様子です。茶を煮て、月の光で古人の書を読むという夜の過ごし方は、贅沢ではなくとも深い満足をもたらします。夜の時間の使い方を少し見直すきっかけになる句です。
この章句が説くこと
茶読書月風雅閑適
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