酔古堂剣掃 / 集峭・松篁の裡に茶を煎る
雲水中載酒,松篁裡煎茶,豈必鑾坡侍宴;山林下著書,花鳥閒得句,何須鳳沼揮毫。
書き下し
雲水の中に酒を載せ、松篁の裡に茶を煎る、豈に必ずしも鑾坡に宴に侍らんや;山林の下に書を著し、花鳥の閒に句を得、何ぞ鳳沼に毫を揮ふを須ひん。
現代語訳
雲や水の中に酒を舟に載せて漂い、松と竹の中で茶を煎じれば、どうして翰林院で天子の宴に侍る必要がありましょう。山林の中で書物を著し、花や鳥の間で詩句を得れば、どうして中書省で筆を揮う必要がありましょう。
解説
宮廷での栄達より、山水の中での風雅な暮らしを選ぶ心を述べた対句です。松篁は松と竹です。鑾坡は唐の宮中の金鑾坡のことで、そばに翰林院が置かれたことから、翰林学士として天子に仕える栄誉を指します。鳳沼は鳳凰池の略で、詔勅を起草する中書省を言います。いずれも文人が憧れた最高の地位です。けれども作者は、自然の中で酒や茶を楽しみ、気ままに書を著し句を得る暮らしのほうが、よほど満ち足りていると言います。地位のある場で筆を揮うことだけが文章の道ではないのです。組織の中での評価とは別に、自分の書きたいことを書き、楽しみたいことを楽しむ場を持つ大切さを教えてくれます。
この章句が説くこと
隠逸閑適風雅茶著述
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