酔古堂剣掃 / 集倩・一簇の春風小院の中
幾聲好鳥斜陽外,一簇春風小院中。
新字:幾声好鳥斜陽外,一簇春風小院中。
書き下し
幾聲の好鳥、斜陽の外。 一簇の春風、小院の中。
現代語訳
夕日の向こうから、いくつか美しい鳥の声が聞こえてきます。小さな中庭の中には、ひとかたまりの春風が吹いています。
解説
春の夕暮れの小さな庭を、音と風でとらえた一則です。好鳥は声の美しい鳥、斜陽は西に傾いた夕日です。遠くの夕日の彼方から鳥の声が届くという遠景と、小さな中庭にひとかたまりの春風が吹き込むという近景とが対になっています。一簇は一群れ、ひとかたまりの意味で、目に見えない風をまるで形あるもののように数えているのが面白い表現です。広い世界と小さな庭、遠くの音と身近な肌ざわりが同時に感じられる、心地よい夕方の空気が伝わってきます。大きな景色を求めて遠くへ出かけなくても、小さな庭やベランダで夕方の風を感じるだけで、季節は十分に味わえるものです。忙しい日にも、夕方に数分だけ外の空気を感じる時間を持ちたいものです。
この章句が説くこと
春夕景閑適自然庭
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