酔古堂剣掃 / 集情・山禽は喬木に聲を弄す
林花翻灑,乍飄颺於蘭皋;山禽囀響,時弄聲於喬木。
新字:林花翻灑,乍飄颺於蘭皋;山禽囀響,時弄声於喬木。
書き下し
林花は翻り灑ぎて、乍ち蘭皋に飄颺し;山禽は響きを囀りて、時に喬木に聲を弄す。
現代語訳
林の花はひるがえり降り注いで、ふいに蘭の咲く水辺へ舞い上がり、山の鳥はさえずり響いて、ときおり高い木の上で声を転がします。
解説
春の林の情景を、花と鳥で対にした美しい四六文です。蘭皋は蘭の生える水辺の岸、喬木は高くそびえる木のことです。前半は花びらが風に舞って水辺へ飛ぶ動き、後半は鳥の声が梢から聞こえる響きで、目と耳の両方から春をとらえています。翻灑・飄颺・囀響・弄聲と、動きと音を表す語を丁寧に選び、景色が絶えず移ろうさまを描き出しています。集情の巻に置かれているのは、こうした景色が人の情を揺り動かすからでしょう。忙しい日にも、窓の外の花や鳥に少し目と耳を向けるだけで、心はほぐれていきます。
この章句が説くこと
自然春景花鳥風雅情景
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