酔古堂剣掃 / 集倩・綠は林臯を染む
綠染林臯,紅銷溪水。
新字:緑染林皋,紅銷渓水。
書き下し
綠は林臯を染め、紅は溪水に銷ゆ。
現代語訳
緑の色は林や水辺の丘を染め、紅の色は谷川の流れに溶けて消えていきます。
解説
晩春から初夏への移り変わりを、緑と紅の二色だけで描いた短い対句です。林臯は林と水辺の岸や丘のことで、そこが新緑に染まっていくさまを言います。後半の紅は散った花びらで、それが谷川に流されて色を失っていく様子を銷の一字で表しています。一方で緑が満ちていき、一方で紅が消えていくという、増えるものと減るものの対比に、季節の移ろいがくっきりと表れています。わずか八字で広い景色と時の流れを描き切る、漢詩文の凝縮の力がよくわかる句です。花が散るのは寂しいことですが、同時に新しい緑が育っているとも言えます。何かが終わるときに、同時に始まっているものに目を向けると、見える景色が変わってくるでしょう。
この章句が説くこと
季節自然新緑落花風景
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