酔古堂剣掃 / 集倩・梨花の為に妝を洗ふ
洛陽每遇梨花時,人多攜酒樹下,曰:“為梨花洗妝。”
新字:洛陽毎遇梨花時,人多攜酒樹下,曰:“為梨花洗妝。”
書き下し
洛陽、梨花の時に遇ふ每に、人多く酒を樹下に攜へて曰く、「梨花の為に妝を洗ふ」と。
現代語訳
洛陽では梨の花の季節になるたびに、多くの人が酒を携えて木の下に集まり、「梨の花のためにお化粧を洗い落としてあげるのだ」と言いました。
解説
洛陽の花見の風習を伝える一則です。洛陽は牡丹で名高い古都ですが、梨の花見も盛んだったことがうかがえます。洗妝は化粧を洗い落とすことです。真っ白な梨の花を、化粧をした美しい女性に見立て、その下で酒を注ぐことを、花の化粧を洗ってあげると洒落て言ったものです。雨に濡れた梨の花は、唐の白居易が「長恨歌」で楊貴妃の涙の顔を梨花一枝春雨を帯ぶとたとえたことでも知られます。花を人のように扱い、その美しさを言葉遊びで楽しむところに、昔の人の風流が表れています。お花見や季節の行事も、ちょっとした言葉の工夫を添えると、ただの宴会ではない特別な時間になるのではないでしょうか。
この章句が説くこと
花見風雅洛陽梨花季節
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