酔古堂剣掃 / 集倩・白雲は僻處に來たる
黃鳥情多,常向夢中呼醉客;白雲意懶,偏來僻處媚幽人。
新字:黄鳥情多,常向夢中呼酔客;白雲意懶,偏来僻処媚幽人。
書き下し
黃鳥は情多く、常に夢中に向かひて醉客を呼ぶ。 白雲は意懶く、偏へに僻處に來たりて幽人に媚ぶ。
現代語訳
うぐいすは情が深く、いつも夢の中にまで酔った客を呼びにやってきます。白雲はのんびりとしていて、わざわざ人里離れたところに来ては隠者にすり寄ります。
解説
鳥と雲に人の心を持たせて描いた、軽やかな対句です。黄鳥はうぐいす、ここでは高麗うぐいすのような美しい声の鳥を指します。酔って寝ている客の夢の中にまで鳴き声が届くさまを、鳥のほうが情に厚く呼びかけてくれると表現しています。白雲は、南朝梁の陶弘景が、山中に何があるかと問われて、嶺の上に白雲が多いと答えた話以来、隠者の友の象徴です。意懶は気持ちがのんびりしていること、媚は好んで寄り添うことです。忙しい人の所には来ないで、世を離れた人のそばにだけ来るという言い方に、隠逸への憧れがにじみます。自然の側から親しまれていると感じられるような、ゆとりある時間の持ち方を大切にしたいものです。
この章句が説くこと
隠逸自然閑適擬人風雅
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