酔古堂剣掃 / 集倩・仙風は縐裙に留まる
趙飛燕歌舞自賞,仙風留於縐裙;韓昭侯顰笑不輕,儉德昭於敝褲。皆以一物著名,局面相去甚遠。
新字:趙飛燕歌舞自賞,仙風留於縐裙;韓昭侯顰笑不軽,倹徳昭於敝褲。皆以一物著名,局面相去甚遠。
書き下し
趙飛燕は歌舞して自ら賞で、仙風は縐裙に留まる。 韓昭侯は顰笑輕からず、儉德は敝褲に昭らかなり。 皆一物を以て名を著はすも、局面相去ること甚だ遠し。
現代語訳
趙飛燕(漢の成帝の皇后)は歌と舞を自ら楽しみ、その仙女のような風情はひだのついた裙に残りました。韓昭侯(戦国時代の韓の君主)はしかめ面ひとつ笑顔ひとつもおろそかにせず、その倹約の徳は古びた袴によって明らかになりました。どちらも一つの品物で名を残しましたが、その中身はまったくかけ離れています。
解説
衣の一品で名を残した二人を並べ、その違いを指摘した一則です。趙飛燕は舞の名手として知られ、ある日舞っていると風に吹かれて飛び去りそうになり、侍女が裙をつかんだところひだがついた、そこからひだのある裙を留仙裙と呼ぶようになった、という話が伝わります。韓昭侯の話は『韓非子』に見え、古い袴を家臣に与えず取っておき、名君は一つのしかめ面や笑いも惜しむもので、まして袴は功のある者に与えるのだと語りました。一方は華やかな美の名残り、一方は賞罰を厳格にする君主の心がけの証です。同じ衣の話でも、そこに込められたものはまるで違うと著者は言います。人が何によって記憶されるかは、その人の生き方しだいだと考えさせられます。
この章句が説くこと
故事倹約美人韓非子処世
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