酔古堂剣掃 / 集倩・六朝の故地に滿つ
空三楚之暮天,樓中歷歷;滿六朝之故地,草際悠悠。
新字:空三楚之暮天,楼中歴歴;満六朝之故地,草際悠悠。
書き下し
三楚の暮天を空しくし、樓中に歷歷たり。 六朝の故地に滿ち、草際に悠悠たり。
現代語訳
三楚の地の夕暮れの空をすっかり澄み渡らせ、楼の中からもくっきりと見えます。六朝の古都の地に満ちあふれ、草の果てまでどこまでも広がっています。
解説
前の二則に続く、月の光をたたえた駢文の一節と見られる対句です。三楚は戦国時代の楚の地を西楚・東楚・南楚の三つに分けた呼び名で、長江中流域の広い地方を指します。六朝は呉・東晋・宋・斉・梁・陳の六つの王朝で、いずれも建康、今の南京に都を置きました。歷歷ははっきりと見えるさま、悠悠ははるかに広がるさまです。広大な楚の空と、栄華の跡を残す六朝の古都の地に、同じ光が満ちている情景が浮かびます。古都に差す光には、過ぎ去った王朝への懐古の情もにじみます。旅先で古い都を歩くとき、その土地の歴史を思いながら空を見上げると、景色に時間の奥行きが加わるものです。
この章句が説くこと
懐古風景月対句風雅
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