酔古堂剣掃 / 集景・景趣前に滿ち應接に暇あらず
天氣晴朗,步出南郊野寺,沽酒飲之。半醉半醒,攜僧上雨花臺,看長江一線,風帆搖曳,鐘山紫氣,掩映黃屋,景趣滿前,應接不暇。
新字:天気晴朗,歩出南郊野寺,沽酒飲之。半酔半醒,攜僧上雨花台,看長江一線,風帆揺曳,鐘山紫気,掩映黄屋,景趣満前,応接不暇。
書き下し
天氣晴朗なれば、步みて南郊の野寺に出で、酒を沽ひて之を飲む。 半ば醉ひ半ば醒め、僧を攜へて雨花臺に上り、長江の一線、風帆の搖曳するを看る。 鐘山の紫氣、黃屋を掩映し、景趣前に滿ち、應接に暇あらず。
現代語訳
よく晴れた日には、歩いて南の郊外の野寺まで出かけ、酒を買って飲みます。半ば酔い半ば醒めた心地で、僧を誘って雨花台に登り、一筋に流れる長江と、風をはらんで揺れる帆を眺めます。鐘山にたなびく紫の気が、天子の宮殿の黄色い屋根を覆うように映え、目の前に景色の趣があふれて、見るのに忙しいほどです。
解説
南京の名所をめぐる、晴れた日の遠足を描いた一則です。雨花臺は南京城の南にある丘で、梁の時代に高僧が経を講じると天から花が雨のように降ったという伝説から名づけられました。鐘山は南京の東にそびえる紫金山で、紫の気がたなびく帝王の地として知られます。黃屋は天子の車や宮殿の黄色い屋根で、ここでは明の都であった南京の宮殿や陵墓を指すとみられます。應接に暇あらずは、晋の王献之が山陰の道を行くと山川が次々と現れて応接に暇がないと語った言葉に由来し、景色が次々に目に飛び込んでくる様子を表しています。晴れた日にふらりと高台に登るだけで、見慣れた町が新鮮に見えてくるでしょう。
この章句が説くこと
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