酔古堂剣掃 / 集景・金陵の倒景猶ほ赤し
玉樹之長廊半陰,金陵之倒景猶赤。
書き下し
玉樹の長廊半ば陰り、金陵の倒景猶ほ赤し。
現代語訳
玉樹の長い回廊は半ば陰り、金陵の夕日の照り返しは、なおも赤く染まっています。
解説
南京の古都の夕暮れに、滅んだ王朝の面影を重ねた一則です。玉樹は、南朝陳の最後の皇帝、陳後主が作らせた歌、玉樹後庭花を思わせる言葉で、この歌は国を滅ぼした亡国の音楽として知られています。金陵は現在の南京で、六朝の都として栄え、多くの王朝が興亡を繰り返した地です。倒景は、夕日の照り返しのことです。長い回廊が半ば陰る一方で、都を染める夕日はなお赤いという対比に、栄華の名残と、やがて訪れる夜の予感とが同時に感じられます。古い都を訪ねたとき、その土地が見てきた長い歴史に思いを馳せると、目の前の景色がいっそう深く心に響いてくるものです。
この章句が説くこと
風雅歴史無常夕暮れ古都
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