酔古堂剣掃 / 集倩・八月の靈槎
八月靈槎,泛寒光而靜去;三山神闕,湛清影以遙連。
新字:八月霊槎,泛寒光而静去;三山神闕,湛清影以遥連。
書き下し
八月の靈槎、寒光に泛びて靜かに去り、 三山の神闕、清影を湛へて以て遙かに連なる。
現代語訳
八月にやってくる不思議な筏は、冷たい光に浮かんで静かに去っていき、三つの神山にある神々の宮殿は、澄んだ影をたたえて遥かに連なっています。
解説
月光の中の天と海を、神話的な道具立てで描いた対句です。八月靈槎は晋の張華『博物志』に見える話で、海辺に住む人が毎年八月に来る筏に乗って天の川まで行ったと伝えられます。三山は東の海に浮かぶとされた蓬萊・方丈・瀛洲の三つの神山で、仙人が住み黄金の宮殿があると信じられていました。寒光と清影は、どちらも月の光を思わせる言葉です。冷たい月光の海を筏が静かに進み、遥か彼方に仙人の宮殿の影が連なる、という幻想的な光景が浮かびます。前の句と同じく、月夜の美しさをたたえた駢文の一節と考えられます。月を見上げたとき、昔の人がそこにどんな物語を重ねていたかを知ると、同じ月が少し違って見えてくるものです。
この章句が説くこと
神仙月風雅対句幻想
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