酔古堂剣掃 / 集奇・騷客狂ひ來たりて天に上らんと欲す
佳人飛去還奔月,騷客狂來欲上天。
新字:佳人飛去還奔月,騷客狂来欲上天。
書き下し
佳人飛び去りて還た月に奔り、騷客狂ひ來たりて天に上らんと欲す。
現代語訳
美しい人は飛び去って、また月へと奔っていき、詩人は狂おしい思いに駆られて、天に昇ろうとします。
解説
月の美人と、天を目指す詩人とを対にした七言の対句です。前半は、夫の后羿が得た不死の薬を盗んで飲み、月へと飛び去った嫦娥の神話を踏まえています。騒客は詩人のことで、戦国楚の屈原の「離騒」に由来する言葉です。狂ったような詩興に駆られた詩人が、天に上ろうとするというのは、李白が青天に上って明月をとらえたいと詠んだような、詩人の奔放な想像力を思わせます。どちらも地上を離れて天へと向かう姿で、俗世を超えようとする心の高ぶりが表れています。ときには現実の制約を忘れて、想像の翼を思い切り広げてみることも、心を若々しく保つ秘訣でしょう。
この章句が説くこと
詩文想像神話奔放風雅
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