酔古堂剣掃 / 集倩・飯後の黑甜
紙窗竹屋,夏葛冬裘,飯後黑甜,日中白醉,足矣!
新字:紙窗竹屋,夏葛冬裘,飯後黒甜,日中白酔,足矣!
書き下し
紙窗竹屋、夏は葛、冬は裘、飯後の黑甜、日中の白醉、足れり。
現代語訳
紙を貼った窓に竹の家、夏は葛の着物、冬は皮衣、食後の昼寝、日中のほろ酔い、それで十分です。
解説
満ち足りた暮らしの条件を、ごく簡素なものだけで数え上げた一則です。紙窓竹屋は質素な住まい、夏葛冬裘は季節に合った衣で、住と衣がそろえば十分だというのです。黒甜は昼寝のことで、宋の蘇軾の詩に、三杯の酒のあとの一眠りの黒甜という言い方が見えます。白酔は昼間のほろ酔いと解されます。最後の足矣、それで足りるという一言に、この一則の心があります。『老子』の足るを知る者は富むという考えにも通じ、多くを求めないことがかえって豊かさにつながると示しています。持ち物や予定を増やすほど満足から遠ざかることがあります。自分にとっての足りる暮らしの条件を書き出してみると、案外短いリストになるかもしれません。
この章句が説くこと
知足清貧閑適簡素午睡
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