酔古堂剣掃 / 集素・飯後の黑甜、別に是れ洞天
飯後黑甜,日中薄醉,別是洞天;茶鐺酒臼,輕案繩床,尋常福地。
新字:飯後黒甜,日中薄酔,別是洞天;茶鐺酒臼,軽案縄床,尋常福地。
書き下し
飯後の黑甜、日中の薄醉、別に是れ洞天。 茶鐺酒臼、輕案繩床、尋常の福地なり。
現代語訳
食後の昼寝、昼間のほろ酔いは、まさに別天地です。茶を煮る鍋や酒の器、軽い机に縄張りの腰掛けがあれば、ありふれた所がそのまま幸福の地になります。
解説
日常のありふれた楽しみの中に、仙境があると言う一則です。黒甜は熟睡のことで、宋の蘇軾の詩に、世間では眠りを黒甜と言うと注した例があります。洞天と福地は、道教で仙人が住むとされる名山の霊地のことで、洞天福地という言葉で知られます。茶鐺は茶を煮る小さな鍋、酒臼は酒を入れる器、縄床は縄を張った簡素な腰掛けです。仙境は遠い名山にあるのではなく、食後のひと眠りや、ほろ酔いの午後、使い慣れた道具に囲まれた部屋の中にあるというのです。特別な休暇を待たなくても、日々の小さなくつろぎを大切にすれば、暮らしはそのまま楽園になり得ます。
この章句が説くこと
閑適休息茶酒道教
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