酔古堂剣掃 / 集韻・饑ゑて餐ふに如くは無し
快欲之事,無如饑餐;適情之時,莫過甘寢。求多於清欲,即侈汰亦茫然也。
新字:快欲之事,無如饑餐;適情之時,莫過甘寝。求多於清欲,即侈汰亦茫然也。
書き下し
快欲の事は、饑ゑて餐ふに如くは無く、適情の時は、甘く寢ぬるに過ぐるは莫し。多きを清欲に求むれば、即ち侈汰も亦た茫然たり。
現代語訳
欲を満たす快いことで、飢えたときに食べることに及ぶものはなく、心にかなう時で、ぐっすり眠ることに勝るものはありません。こうした清らかな欲より多くのものを求めれば、どんなに贅沢をしても、また心はむなしく定まらないのです。
解説
本当の快楽は素朴なところにあると説く一則です。快欲は欲を満たす快さ、適情は心にかなうことです。空腹のときに食べるご飯、疲れたときの深い眠り、これこそが最高の快楽だというのです。清欲は、そうした素朴で清らかな欲を言います。侈汰は度を越した贅沢、茫然はむなしく心の定まらないさまです。素朴な欲以上のものを求めて贅沢を重ねても、かえって満足は遠ざかり、心は空っぽになると戒めています。おなかがすいたときの一杯のご飯のおいしさ、よく眠れた朝の心地よさは、どんなごちそうにも勝ります。基本的な欲を大切に満たすことが、実は一番の贅沢なのかもしれません。
この章句が説くこと
知足節制養生清貧欲望
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