酔古堂剣掃 / 集法・戶を掩ひて香を焚く
掩戶焚香,清福已具。如無福者,定生他想。更有福者,輔以讀書。
新字:掩戸焚香,清福已具。如無福者,定生他想。更有福者,輔以読書。
書き下し
戶を掩ひ香を焚けば、清福已に具はる。 如し福無き者は、定めて他想を生ず。 更に福有る者は、輔くるに讀書を以てす。
現代語訳
戸を閉めて香を焚けば、それだけで清らかな幸福はすでにそろっています。もし福の薄い人なら、そうして座っていてもきっとほかのことを考え出してしまうでしょう。さらに福の厚い人は、そこに読書を添えます。
解説
静かに一人でいる時間を、そのまま幸福と見る一則です。掩戸は戸を閉ざすこと、清福は富や地位とは別の、清らかで静かな幸せを指します。戸を閉めて香を焚くだけで清福は足りている、と著者はまず言い切ります。ところが福の薄い人は、せっかくの静けさの中でも落ち着かず、あれこれと他のことを思い浮かべてしまいます。そして本当に福のある人は、その静けさに読書を添えて、いっそう深く味わいます。幸福を持ち物ではなく、静けさを受け取れる心の力として描いているところが面白い点です。予定のない時間ができたとき、すぐに画面を開くか、落ち着いて本を開けるかで、自分の福の厚さを測ってみるのもよいかもしれません。
この章句が説くこと
清福閑適読書修身静坐
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