酔古堂剣掃 / 集法・書は是れ同人
書是同人,每讀一篇,自覺寢食有味;佛為老友,但窺半偈,轉思前境真空。
新字:書是同人,毎読一篇,自覚寝食有味;仏為老友,但窺半偈,転思前境真空。
書き下し
書は是れ同人、一篇を讀む每に、自ら寢食に味有るを覺ゆ。佛は老友為り、但だ半偈を窺ふのみにして、轉た前境の真空なるを思ふ。
現代語訳
書物は志を同じくする仲間であり、一篇を読むごとに、寝ることにも食べることにもおのずと味わいが出てくるのを感じます。仏は古なじみの友であり、ほんの半句の偈を垣間見ただけで、目の前の境遇がまことに空であることを思うようになります。
解説
書物と仏を、仲間と古い友に見立てた一則です。同人は志を同じくする人、偈は仏の教えを詩の形にしたものです。本を読めば、日々の寝食という当たり前のことにまで味わいが出てくると言います。読書が暮らしを彩るという実感でしょう。仏の教えは、ほんの半句に触れただけで、目の前の境遇が移ろいゆく空なるものだと気づかせてくれます。書は暮らしに味を与え、仏は執着をほどいてくれる。二つの友を持つことで、心は豊かにも軽やかにもなれるのでしょう。あなたにも、そうした友と呼べる書物はあるでしょうか。
この章句が説くこと
読書仏教友閑適無常
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集素・閒中に伴を覓むるは書を上と為す閒中に伴を覓むるは書を上と為し、身外に求むる無くして睡り最も安し。
-
『酔古堂剣掃』集法・書一卷を觀れば一卷の益惟だ書のみ貴賤貧富老少を問はず。書一卷を觀れば、則ち一卷の益を增し、書一日を觀れば、則ち一日の益有り。
-
『酔古堂剣掃』集豪・人間未見の書を讀み盡くす友は天下の英傑の人士に偏く、 讀むは人間未見の書を盡くす。
-
『酔古堂剣掃』集靈・話を說きて洞心の處に到る書を讀みて快目の處に到れば、一切沉淪の色を起し、話を說きて洞心の處に到れば、一切曖昧の私を破る。
-
『酔古堂剣掃』集靈・窮して書を買ふ能はずして奇書を讀むを好む貧にして客を享する能はずして、客を結ぶを好む。老いて世に徇ふ能はずして、世を維ぐを好む。窮して書を買ふ能はずして、奇書を讀むを好む。
-
『酔古堂剣掃』集倩・酒有らば韻友を邀ふ事無くば當に韻書を看るべし、酒有らば當に韻友を邀ふべし。