酔古堂剣掃 / 集靈・窮して書を買ふ能はずして奇書を讀むを好む
貧不能享客,而好結客;老不能徇世,而好維世;窮不能買書,而好讀奇書。
新字:貧不能享客,而好結客;老不能徇世,而好維世;窮不能買書,而好読奇書。
書き下し
貧にして客を享する能はずして、客を結ぶを好む。老いて世に徇ふ能はずして、世を維ぐを好む。窮して書を買ふ能はずして、奇書を讀むを好む。
現代語訳
貧しくて客をもてなすことができないのに、客と交わりを結ぶのが好きです。年老いて世の中に従って動くことができないのに、世の中を支えようとするのが好きです。困窮して本を買うことができないのに、珍しい本を読むのが好きです。
解説
力と望みが釣り合わない自分を、苦笑まじりに語った一則です。享客は客をもてなすこと、結客は交わりを結ぶことです。徇世は世の流れに従うこと、維世は世の中の秩序を支え保つことです。奇書は世に珍しい書物を言います。お金も体力もないのに、人と交わること、世の役に立つこと、良い本を読むことへの思いだけは失わないという姿には、自嘲とともに誇りがにじみます。条件がそろわなくても好きなものへの熱意を持ち続けることは、人を若々しく保ちます。お金がなくても図書館で本を借り、体力がなくても知恵で人を助けることはできます。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
清貧交友読書老境志
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啓発録・跋嗚呼如何せん、吾身刀圭の家に生れ、賤技に局々として、吾初年の志を遂る事を不得を。然れども所業は此に在りても、所志は彼に在り候へは、後世吾心を知り吾志を憐み吾道を信ずる者あらん歟。嘉永戊申季夏橋本左内誌。
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