酔古堂剣掃 / 集豪・人間未見の書を讀み盡くす
友偏天下英傑人士,讀盡人間未見之書。
新字:友偏天下英傑人士,読尽人間未見之書。
書き下し
友は天下の英傑の人士に偏く、 讀むは人間未見の書を盡くす。
現代語訳
友としては天下の英傑や名士とあまねく交わり、読むものとしては世の人がまだ見たことのない書物まで読み尽くします。
解説
交友と読書という二つの面で、豪者の理想の生き方を示した一則です。前の句は、天下のすぐれた人物とあまねく交わりを結ぶことを言います。原文の「偏」は、あまねくという意味の「遍」に通じると見て読みました。後の句は、世の人がまだ見たことのない珍しい書物まで読み尽くすことを言います。人から学ぶことと書物から学ぶことは、見聞を広げる二本の柱です。どちらも、狭い世界にとどまらず、できるかぎり広く深く求めていこうという志を表しています。明末の文人たちは、各地の名士と交わり、珍しい本を集めて読むことを誇りとしました。今日でも、良い人と良い本に出会い続けることが、人を大きくする最も確かな道でしょう。
この章句が説くこと
交友読書学問見聞豪放
関連する章句
-
人物志・體別夫れ學は材を成す所以なり、疏は情を推す所以なり。偏材の性は、移轉すべからず。
-
言志四録・南洲手抄学之を古訓に稽へ、問之を師友に質すは、人皆之を知る。学必ず之を躬に学び、問必ず諸を心に問ふは、其れ幾人有らんか。
-
言志四録・南洲手抄朝にして食はずば、昼にして饑う。少うして学ばずば、壮にして惑ふ。饑うるは猶忍ぶ可し、惑ふは奈何ともす可からず。
-
歎異抄・第十二条経釈を読み学せざる輩、往生不定の由のこと。この条、すこぶる不足言の義と言いつべし。 他力真実の旨を明かせる諸の聖教は、本願を信じ念仏を申さば仏に成る、そのほか何の学問かは往生の要なるべきや。 まことにこの理に迷えらん人は、いかにもいかにも学問して、本願の旨を知るべきなり。 経釈を読み学すといえども、聖教の本意を心得ざる条、もっとも不便のことなり。
-
論語・為政篇子曰く、異端を攻むるは、斯れ害のみ。
-
説苑・建本子思曰わく、学は才を益す所以なり、礪は刃を致す所以なり。吾嘗て幽処して深く思うも、学の速やかなるに若かず。吾嘗て跂ちて望むも、高きに登りて博く見るに若かず。故に風に順いて呼べば、声疾しきを加えざれども聞く者衆し。丘に登りて招けば、臂長きを加えざれども見る者遠し。故に魚は水に乗り、鳥は風に乗り、草木は時に乗る。