酔古堂剣掃 / 集法・恰も是れ酒肉漢の本色
《水滸傳》無所不有,卻無破老一事,非關缺陷,恰是酒肉漢本色。如此益知作者之妙。
新字:《水滸伝》無所不有,却無破老一事,非関欠陥,恰是酒肉漢本色。如此益知作者之妙。
書き下し
《水滸傳》は有らざる所無し、卻って破老の一事無し。缺陷に關するに非ず、恰も是れ酒肉漢の本色なり。此の如くにして益〻作者の妙を知る。
現代語訳
『水滸伝』にはないものは何もありませんが、それなのに破老(美少年への寵愛)の話だけはひとつもありません。これは欠点というわけではなく、まさに酒と肉を好む豪傑たちの本来の姿なのです。このことから、ますます作者の見事さが分かります。
解説
小説『水滸伝』の描写に込められた作者の工夫を評した一則です。水滸伝は、梁山泊に集まる百八人の豪傑を描いた物語で、あらゆる人間模様が描かれています。破老は、古い言い回しで美少年への寵愛を指すと考えられます。そうした色事がないのは、描き漏らしではなく、酒を飲み肉を食らう豪放な男たちの性格に合わないからだと、著者は見抜きます。何を描くかだけでなく、何を描かないかにも作者の意図が表れるという、鋭い読み方です。仕事の企画でも、何を入れないかを決めることが、全体の個性を際立たせます。
この章句が説くこと
文学読書取捨豪放作者
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