酔古堂剣掃 / 集法・人の仇は忘るべく念ふべからず
人之恩可念不可忘,人之仇可忘不可念。
書き下し
人の恩は念ふべく忘るべからず、人の仇は忘るべく念ふべからず。
現代語訳
人から受けた恩は、心にとどめるべきで忘れてはいけません。人から受けた仇は、忘れるべきで心にとどめてはいけません。
解説
恩と仇に対する心の向け方を、きれいな対句で示した一則です。人は不思議なもので、受けた恩はすぐ忘れ、受けた仇はいつまでも覚えているものです。著者はその逆をせよと言います。恩を心にとどめれば、感謝の気持ちが自分を謙虚にし、人との縁を深めます。仇を忘れれば、恨みにとらわれて自分の心をすり減らすことがなくなります。菜根譚にも、人の恩は忘るべからず、怨みは忘れざるべからずという似た趣旨の句があります。心の記憶を上手に選ぶことが、穏やかに生きる秘訣なのでしょう。
この章句が説くこと
恩義寛容忍修身感謝
関連する章句
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『酔古堂剣掃』集醒・恩は忘るべからず、怨は忘れよ我人に功有るは、念ふべからず、而して過は則ち念はざるべからず。 人我に恩有るは、忘るべからず、而して怨は則ち忘れざるべからず。
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『酔古堂剣掃』集醒・德怨の兩つながら忘る怨は德に因りて彰はる。故に人をして我を德とせしむるは、德怨の兩つながら忘るるに若かず。仇は恩に因りて立つ。故に人をして恩を知らしむるは、恩仇の俱に泯ぶるに若かず。
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『酔古堂剣掃』集法・新怨を以て舊恩を忘るる勿かれ小嫌を似て至戚を疏んずる毋かれ、新怨を以て舊恩を忘るる勿かれ。
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菜根譚・前集我に人に功有るは念ずべからず。而れども過ちは則ち念ぜざるべからず。人に我に恩有るは忘るべからず。而れども怨みは則ち忘れざるべからず。
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菜根譚・前集怨みは徳に因りて彰る。故に人をして我を徳とせしむるは、徳と怨みとの両つながら忘るるに若かず。仇は恩に因りて立つ。故に人をして恩を知らしむるは、恩と仇との俱に泯(ほろ)ぶるに若かず。
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菜根譚・前集人の恩を受くること、深しと雖も報いず。怨みは則ち浅きも亦た之に報ゆ。人の悪を聞くこと、隠なりと雖も疑わず。善は則ち顕なるも亦た之を疑う。此れ刻の極み、薄の尤なり。宜しく切に之を戒むべし。