菜根譚 / 前集
我有功於人不可念,而過則不可不念;人有恩於我不可忘,而怨則不可不忘。
書き下し
我に人に功有るは念ずべからず。而れども過ちは則ち念ぜざるべからず。人に我に恩有るは忘るべからず。而れども怨みは則ち忘れざるべからず。
現代語訳
自分が人に功を施したことは、覚えていてはならない。しかし過ちは、覚えていなければならない。人が自分に恩を施したことは、忘れてはならない。しかし怨みは、忘れなければならない。
解説
四つの組み合わせが、明快です。自分の功は忘れ、自分の過ちは覚える。人の恩は覚え、人の怨みは忘れる。多くの人は逆をします。自分の功を数え、人の怨みを数える。記憶の向きを、意図的に変えるのです。