菜根譚 / 前集
我有功於人不可念,而過則不可不念;人有恩於我不可忘,而怨則不可不忘。
書き下し
我に人に功有るは念ずべからず。而れども過ちは則ち念ぜざるべからず。人に我に恩有るは忘るべからず。而れども怨みは則ち忘れざるべからず。
現代語訳
自分が人に功を施したことは、覚えていてはならない。しかし過ちは、覚えていなければならない。人が自分に恩を施したことは、忘れてはならない。しかし怨みは、忘れなければならない。
解説
自分が誰かに良いことをしたなら、そのことはすぐに忘れるべきだと説きます。しかし、自分の失敗や過ちについては、決して忘れてはならない。一方で、人から受けた親切や恩義は心に刻み、人から受けた恨みや不満は、すぐに手放すことが大切です。私たちはつい、自分の手柄を誇り、他人の欠点や自分への不満を覚えてしまいがち。この教えは、記憶の焦点を意識的に変えることで、謙虚さを保ち、人間関係を円滑にし、心の平穏を保つための指針となるでしょう。
この章句が説くこと
我有功於人不可念而過則不可不念人有恩於我不可忘而怨則不可不忘