酔古堂剣掃 / 集法・好惡は驟かに施すべからず
好醜不可太明,議論不可務盡,情勢不可殫竭,好惡不可驟施。
新字:好醜不可太明,議論不可務尽,情勢不可殫竭,好悪不可驟施。
書き下し
好醜は太だ明らかにすべからず、議論は盡くすを務むべからず、情勢は殫竭すべからず、好惡は驟かに施すべからず。
現代語訳
美しいか醜いかは、あまりにはっきりさせすぎてはいけません。議論は、言い尽くそうと努めてはいけません。情や勢いは、使い果たしてはいけません。好き嫌いは、急にあらわにしてはいけません。
解説
物事を白黒つけすぎず、余地を残せと説いた一則です。好醜を明らかにしすぎると、醜いとされた側が恨みを抱きます。議論を尽くしきれば、相手の逃げ場がなくなります。情勢を殫竭する、つまり情も力も出し尽くせば、後が続きません。好悪を驟かに施す、つまり好き嫌いをすぐ態度に出せば、人は離れていきます。どれも、はっきりさせることが正しいと思いがちな場面です。しかし人の世では、少しあいまいさを残すことが、関係を長く保つ知恵になります。すべてに白黒をつけようとしていないか、振り返りたいものです。
この章句が説くこと
中庸処世寛容余白議論
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