酔古堂剣掃 / 集法・不盡の意を留む
凡事留不盡之意則機圓,凡物留不盡之意則用裕,凡情留不盡之意則味深,凡言留不盡之意則致遠,凡興留不盡之意則趣多,凡才留不盡之意則神滿。
新字:凡事留不尽之意則機円,凡物留不尽之意則用裕,凡情留不尽之意則味深,凡言留不尽之意則致遠,凡興留不尽之意則趣多,凡才留不尽之意則神満。
書き下し
凡そ事は不盡の意を留むれば則ち機圓かに、凡そ物は不盡の意を留むれば則ち用裕かに、凡そ情は不盡の意を留むれば則ち味深く、凡そ言は不盡の意を留むれば則ち致遠く、凡そ興は不盡の意を留むれば則ち趣多く、凡そ才は不盡の意を留むれば則ち神滿つ。
現代語訳
すべて物事は、やり尽くさない余地を残しておけば、はたらきが円滑になります。物は、使い尽くさない余地を残しておけば、用途にゆとりが出ます。情は、出し尽くさない余地を残しておけば、味わいが深くなります。言葉は、言い尽くさない余地を残しておけば、趣が遠くまで届きます。興は、楽しみ尽くさない余地を残しておけば、面白みが増します。才能は、出し尽くさない余地を残しておけば、精神が満ち足ります。
解説
余白を残すことの効用を、六つの場面に重ねて説いた一則です。事、物、情、言、興、才のすべてに、尽くさない意を留めよと繰り返します。機円は物事の運びが滑らかなこと、用裕は使い道にゆとりがあること、致遠は趣が遠くまで及ぶことです。何ごとも目いっぱいまでやると、行き詰まったり味気なくなったりします。少し余力を残すことで、次への広がりが生まれます。菜根譚にも、事を行うには余地を残せという趣旨の言葉があります。予定も言葉も詰め込みすぎず、八分目で止めておく勇気を持ちたいものです。
この章句が説くこと
節度余白処世中庸節制
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