酔古堂剣掃 / 集法・福は享け盡くすべからず
勢不可倚盡,言不可道盡,福不可享盡,事不可處盡,意味偏長。
新字:勢不可倚尽,言不可道尽,福不可享尽,事不可処尽,意味偏長。
書き下し
勢ひは倚り盡くすべからず、言は道ひ盡くすべからず、福は享け盡くすべからず、事は處し盡くすべからず、意味偏へに長し。
現代語訳
勢いには寄りかかりきってはいけません。言葉は言い尽くしてはいけません。幸福は味わい尽くしてはいけません。物事はやり尽くしてはいけません。そうすれば、味わいはひときわ長く続きます。
解説
勢い、言葉、福、事の四つについて、尽くさないことを説いた一則です。宋の法演禅師の戒めとして伝わる、勢いは使い尽くすべからず、福は受け尽くすべからず、という言葉と同じ趣旨です。権勢に頼りきれば、失ったときに崩れます。言葉を言い尽くせば、相手を追い詰め、余韻もなくなります。幸福を享受しきれば、あとは減るばかりです。意味偏へに長しとは、余地を残すことで、かえって味わいが長く続くということです。勢いのあるときほど、その勢いに頼りきらずに一歩控える。それが長続きの秘訣でしょう。
この章句が説くこと
節度余白処世中庸惜福
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『酔古堂剣掃』集法・不盡の意を留む凡そ事は不盡の意を留むれば則ち機圓かに、凡そ物は不盡の意を留むれば則ち用裕かに、凡そ情は不盡の意を留むれば則ち味深く、凡そ言は不盡の意を留むれば則ち致遠く、凡そ興は不盡の意を留むれば則ち趣多く、凡そ才は不盡の意を留むれば則ち神滿つ。
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