酔古堂剣掃 / 集法・其の來らざるを訝らしむ
土人當使王公聞名多而識面少,寧使王公訝其不來,毋使王公厭其不去。
新字:土人当使王公聞名多而識面少,寧使王公訝其不来,毋使王公厭其不去。
書き下し
土人は當に王公をして名を聞くこと多くして面を識ること少なからしむべし。寧ろ王公をして其の來らざるを訝らしむるも、王公をして其の去らざるを厭はしむる毋かれ。
現代語訳
士人は、王侯や貴人が自分の名を聞くことは多くても、顔を見知ることは少ないようにしておくべきです。むしろ、王侯になぜ来ないのかといぶかしがられるほうがよく、王侯になかなか帰らないと嫌がられるようなことがあってはなりません。
解説
権力者との距離の取り方を説いた一則です。原文の土人は、士人の写し違いと思われます。名を聞くこと多く面を識ること少なしとは、評判は届いていても、頻繁に顔を出して取り入ることはしないという態度です。来ないことを不思議がられるくらいがちょうどよく、居座って疎まれるのは最悪だと言います。権力者に近づきすぎれば、へつらい者と見られ、軽んじられます。距離を保つことで、かえって重んじられるのです。上司や取引先との付き合いでも、仕事で名を知られ、用もなく入り浸らない。そんな節度が信頼を生みます。
この章句が説くこと
処世節度交友気骨距離
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