酔古堂剣掃 / 集豪・封侯の骨少なきを恨む
說劍談兵,今生恨少封侯骨;登高對酒,此日休吟烈士歌。
新字:説剣談兵,今生恨少封侯骨;登高対酒,此日休吟烈士歌。
書き下し
劍を說き兵を談ずるも、今生恨むらくは侯に封ぜらるるの骨少なきを。高きに登り酒に對しては、此の日烈士の歌を吟ずるを休めよ。
現代語訳
剣を語り兵法を論じても、この一生で残念なのは、侯に封じられるような骨相を持っていないことです。高いところに登って酒に向かうこの日には、烈士の悲壮な歌を吟じるのはやめておきましょう。
解説
武の志を抱きながら、それを発揮する機会に恵まれない者の哀感を描いた一則です。封侯の骨は、手柄を立てて諸侯に封じられるような骨相、つまり出世の運を指します。剣や兵法を論じるほどの志があっても、運に恵まれなければ世に用いられません。後半は、せめて高みに登って酒を飲む日くらいは、悲憤の歌を吟じるのをやめて楽しもうと言います。悔しさを抱えながらも、それに呑まれずに今日を楽しもうとするところに、豪放な心の強さがあります。報われない時期にも、自分を追い詰めすぎない知恵が大切です。
この章句が説くこと
不遇豪気立志酒達観
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