酔古堂剣掃 / 集豪・世を憐れむ心腸を詩句に寄す
放不出憎人面孔,落在酒杯:丟不下憐世心腸,寄之詩句。
書き下し
人を憎むの面孔を放ち出だせず、落ちて酒杯に在り。世を憐れむの心腸を丟て下さず、之を詩句に寄す。
現代語訳
人を憎む顔つきを表に出すことができず、それは酒杯の中に落ちていきます。世を憐れむ心を捨て去ることができず、それを詩の句に託します。
解説
心にたまった思いの行き場を、酒と詩に見いだす文人の姿を描いた一則です。人を憎む気持ちがあっても、それを顔に出せば角が立ちます。だからその憤りは酒の中に沈めるしかありません。一方、世の中を憐れむ心は捨てられず、詩に託して言葉にします。怒りも慈しみも、直接ぶつけずに形を変えて昇華している点に、成熟した心の処し方が見えます。今の私たちも、感情をそのまま人にぶつけるのではなく、書くことや打ち込むことで形を変えて外に出す工夫を持っておくとよいでしょう。
この章句が説くこと
忍詩感情酒昇華
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