酔古堂剣掃 / 集豪・意氣のみを以て勝るに匪ず
辦大事者,匪獨以意氣勝,蓋亦其智略絕也,故負氣雄行,力足以折公侯,出奇制算,事足以駭耳目。如此人者,俱千古矣。嗟嗟!今世徒虛語耳。
新字:辦大事者,匪独以意気勝,蓋亦其智略絶也,故負気雄行,力足以折公侯,出奇制算,事足以駭耳目。如此人者,倶千古矣。嗟嗟!今世徒虚語耳。
書き下し
大事を辦ずる者は、獨り意氣を以て勝るのみに匪ず、蓋し亦た其の智略絕するなり。故に氣を負ひて雄行すれば、力以て公侯を折くに足り、奇を出だし算を制すれば、事以て耳目を駭かすに足る。此の如き人は、俱に千古なり。嗟嗟、今世は徒らに虛語なるのみ。
現代語訳
大事業を成し遂げる者は、ただ意気込みで勝っているだけではありません。その知恵と策略が並外れているのです。だから気概を背負って堂々と行動すれば、その力は王侯をもくじくほどであり、奇策を出して計略を制すれば、その事業は人の耳目を驚かすほどになります。このような人は、みな千年にわたって名を残します。ああ、今の世の中では、それもむなしい言葉にすぎません。
解説
大事を成すには、気概と知略の両方が要ると説いた一則です。辦ずるは成し遂げること、智略は知恵と策略です。気概だけでは空回りし、知略だけでは人を動かせません。気を負ひて雄行すれば王侯をも屈し、奇を出だし算を制すれば世を驚かす、という二つの句が、気と智の両輪を示しています。最後に、今の世にはそんな人物がいないと嘆くところに、明末の時代への憂いがにじんでいます。熱意だけで突き進むのでも、計算だけで動くのでもなく、両方を兼ね備えることが、大きな仕事をする人の条件でしょう。
この章句が説くこと
知略気概治政胆力豪傑
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