酔古堂剣掃 / 集豪・半肩の行李に秋水春雲
詞人半肩行李,收拾秋水春雲;深宮一世梳妝,惱亂晚花新柳。
新字:詞人半肩行李,収拾秋水春雲;深宮一世梳妝,悩乱晩花新柳。
書き下し
詞人は半肩の行李に、秋水春雲を收拾す。深宮は一世の梳妝に、晚花新柳を惱亂す。
現代語訳
詩人は片方の肩に担ぐほどのわずかな荷物に、秋の水や春の雲を収めて持ち歩きます。奥深い宮殿の女性は一生を髪結いと化粧に費やして、遅咲きの花や芽吹いたばかりの柳の心をかき乱します。
解説
身軽な詩人と、宮中の女性とを対比した一則です。半肩の行李は、片方の肩で担げるほどのわずかな旅の荷物です。詩人は物は持たなくても、旅先で見た秋の水や春の雲を詩句として持ち帰ります。一方、深宮の女性は一生を身づくろいに費やし、その美しさは花や柳さえ妬ませるほどだと言います。一方は自然を心に収め、他方は美を競って自然を悩ませる、という対比です。持ち物の多さではなく、心に何を収めて歩くかが、その人の豊かさを決めるのかもしれません。
この章句が説くこと
風雅詩清貧自然美
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