酔古堂剣掃 / 集豪・師友の化すべからざる愚蒙無し
天下固有父兄不能囿之豪傑,必無師友不可化之愚蒙。諧友於天倫之外,元章呼石為兄;奔走於世途之中,莊生喻塵以馬。
新字:天下固有父兄不能囿之豪傑,必無師友不可化之愚蒙。諧友於天倫之外,元章呼石為兄;奔走於世途之中,荘生喩塵以馬。
書き下し
天下固より父兄の囿むこと能はざるの豪傑有るも、必ず師友の化すべからざるの愚蒙無し。友を天倫の外に諧へ、元章は石を呼びて兄と為す。世途の中に奔走し、莊生は塵を喻ふるに馬を以てす。
現代語訳
天下には、もとより父や兄でさえ枠にはめられない豪傑がいます。しかし、師や友が教え導いても変えられない愚か者は決していません。肉親の外に友を求めてうち解け、元章(米芾)は石を兄と呼びました。世の道を駆けずり回ることについて、荘生(荘子)は塵を馬にたとえました。
解説
師友の感化の大きさと、肉親の枠を越えた交わりを語った一則です。前半は、家族には収まらない豪傑はいても、よい師や友に導かれて変わらない者はいないと言い、人を育てるのは交わりだと説きます。元章は宋の書家米芾の字で、奇石を拝んで兄と呼んだ逸話で知られます。荘生の話は、『荘子』逍遥遊で、空に漂う陽炎や塵を野馬と呼んだことを踏まえ、世を奔走する姿のはかなさを言うようです。人は付き合う相手によって変わります。自分を高めてくれる師や友との縁を大切にしたいものです。
この章句が説くこと
交友師友教育感化豪傑
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