酔古堂剣掃 / 集豪・語人を驚かさずんば死すとも休まず
李太白云:“天生我才必有用,黃金散盡還復來。”杜少陵云:“一生性僻耽佳句,語不驚人死不休。”豪傑不可不解此語。
新字:李太白云:“天生我才必有用,黄金散尽還復来。”杜少陵云:“一生性僻耽佳句,語不驚人死不休。”豪傑不可不解此語。
書き下し
李太白云ふ、「天我が才を生ず必ず用有り、黃金散じ盡くして還た復た來らん」と。杜少陵云ふ、「一生性僻にして佳句に耽る、語人を驚かさずんば死すとも休まず」と。豪傑此の語を解せざるべからず。
現代語訳
李太白(李白)は言いました。「天が私という才を生んだからには必ず用いどころがある。黄金は使い果たしても、またやって来る」と。杜少陵(杜甫)は言いました。「一生、性分が偏っていて、よい句を作ることに夢中だ。言葉が人を驚かさなければ、死んでもやめない」と。豪傑たる者、この言葉の意味が分からなくてはなりません。
解説
唐の二大詩人の名句を並べ、豪傑の心得とした一則です。前半は李白の将進酒の一節で、自分の才への揺るぎない自信と、金銭へのこだわりのなさがうたわれています。後半は杜甫の詩の一節で、よい句を求めて生涯をかける執念が表れています。李白の大らかな自信と、杜甫のひたむきな執念は、性格は正反対に見えますが、どちらも自分の道に賭ける強さです。著者は、この二つを分かってこそ豪傑だと言います。自分を信じる力と、妥協せず磨き続ける力、その両方を持ちたいものです。
この章句が説くこと
自負詩執念豪気立志
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