酔古堂剣掃 / 集豪・世態の炎涼に當たり起たず
說不盡山水好景,但付沈吟;當不起世態炎涼,惟有閉戶。
新字:説不尽山水好景,但付沈吟;当不起世態炎涼,惟有閉戸。
書き下し
山水の好景を說き盡くせざれば、但だ沈吟に付す。世態の炎涼に當たり起たざれば、惟だ戶を閉づる有るのみ。
現代語訳
山や川の美しい景色を言葉で語り尽くせないときは、ただ静かに口ずさむにまかせます。世の中の熱さ冷たさの移り変わりに耐えられないときは、ただ戸を閉ざすばかりです。
解説
言葉にならない美しさと、耐えがたい世の薄情とに対する、二つの身の処し方を述べた一則です。沈吟は、低く口ずさみながら思いにふけることです。美しい景色は説明しようとせず、ただ味わえばよいと言います。世態の炎涼は、勢いのある人には群がり、落ち目の人からは離れていく世間の手のひら返しのことです。それに耐えられないときは、戸を閉ざして自分を守れと言います。無理に語らず、無理に立ち向かわない、というのも一つの知恵です。疲れたときは人との関わりを少し減らして、心を休める時間を持ちましょう。
この章句が説くこと
閑適隠逸世態自然休息
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