酔古堂剣掃 / 集韻・凡そ葉は盡く詩を題す可し
艷陽天氣,是花皆堪釀酒,綠陰深處,凡葉盡可題詩。
新字:艶陽天気,是花皆堪醸酒,緑陰深処,凡葉尽可題詩。
書き下し
艷陽の天氣には、是れ花なれば皆酒に釀すに堪へ、綠陰の深き處には、凡そ葉は盡く詩を題す可し。
現代語訳
うららかな春の日和には、花でさえあればどれも酒に醸すことができ、緑の木陰の深いところでは、どの葉にもすべて詩を書きつけることができます。
解説
春と夏の豊かさを、酒と詩に結びつけた対句です。艶陽は明るく美しい春の日差しのことです。花を酒に醸すというのは、桃花酒や菊花酒のように花を漬けた酒を思わせます。葉に詩を題すというのは、唐代に宮女が紅葉に詩を書いて水に流し、それを拾った人と結ばれたという話などに見られる、風雅な遊びです。季節が満ちているときには、身の回りのものすべてが楽しみの種になる、という充実感があふれています。何もないと思っている日常にも、見方を変えれば遊びや表現の材料はいくらでも転がっています。目の前にあるもので楽しむ工夫をしてみたいものです。
この章句が説くこと
風雅詩酒季節自然閑適
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集韻・紅葉を取りて燒く落花掃ふに慵く、留めて蒼苔に襯へしむ。村釀新たに芻せば、紅葉を取りて燒く。
-
『酔古堂剣掃』集韻・月來たりて俗を洗ふ春光濃やかなること酒に似たり、花故に人を醉はしむ。夜色澄めること水の如し、月來たりて俗を洗ふ。
-
『酔古堂剣掃』集豪・花の為に妝を洗ふ春到れば十千の美酒、花の為に妝を洗ふ。夜來れば一片の名香、月の與に魄を熏ず。
-
『酔古堂剣掃』集情・風堦に葉を拾ふ風堦に葉を拾ふは、山人の茶竈の勞薪、月逕に花を聚むるは、素士の吟壇の綺席。
-
『酔古堂剣掃』集倩・春飲は郊に宜し法飲は舒なるに宜しく、放飲は雅なるに宜しく、病飲は小なるに宜しく、愁飲は醉ふに宜しく、春飲は郊に宜しく、夏飲は庭に宜しく、秋飲は舟に宜しく、冬飲は室に宜しく、夜飲は月に宜し。
-
『酔古堂剣掃』集韻・全く詩格に憑りて取裁す花を栽ゑ竹を種うるは、全く詩格に憑りて取裁し、鳥を聽き魚を觀るは、要は酒情に在りて打點す。