酔古堂剣掃 / 集豪・胸中に三萬卷の書無くんば
胸中無三萬卷書,眼中無天下奇山川,未必能文。縱能,亦無豪傑語耳。
新字:胸中無三万巻書,眼中無天下奇山川,未必能文。縦能,亦無豪傑語耳。
書き下し
胸中に三萬卷の書無く、眼中に天下の奇山川無くんば、未だ必ずしも文を能くせず。縱ひ能くするも、亦た豪傑の語無きのみ。
現代語訳
胸の中に三万巻の書物がなく、目の中に天下の珍しい山や川がなければ、必ずしもよい文章が書けるとは限りません。たとえ書けたとしても、豪傑らしい言葉はないでしょう。
解説
大きな文章を書くには、読書と旅の両方が要ると説く一則です。三万巻の書は膨大な読書、天下の奇山川は実地に見た景色を指します。書物で得た知識と、自分の目で見た世界の広さがそろってはじめて、器の大きな言葉が生まれると言います。万巻の書を読み万里の道を行くという言い方にも通じる考えです。器用に文章をまとめる力はあっても、経験と教養の厚みがなければ人を揺さぶることはできません。机の上の勉強と、外に出て見聞を広げることを、どちらも怠らずにいたいものです。
この章句が説くこと
読書学問見聞文章豪気
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