酔古堂剣掃 / 集豪・首を搔きて青天に問ふ
青蓮登華山落雁峰,曰:「呼吸之氣,想通帝座。恨不攜謝朓驚人之句來,搔首問青天耳!」
新字:青蓮登華山落雁峰,曰:「呼吸之気,想通帝座。恨不攜謝朓驚人之句来,搔首問青天耳!」
書き下し
青蓮、華山の落雁峰に登りて曰く、「呼吸の氣、想ふに帝座に通ぜん。恨むらくは謝朓が驚人の句を攜へ來りて、首を搔きて青天に問はざるのみ」と。
現代語訳
青蓮(李白)が華山の落雁峰に登って言いました。「ここで吐く息は、きっと天帝の座にまで通じるだろう。残念なのは、謝朓(南斉の詩人)の人を驚かす名句を携えて来て、頭をかきながら青空に問いかけられないことだけだ」と。
解説
李白が華山の頂で語ったとされる言葉を収めた一則です。青蓮は李白の号、落雁峰は華山の最高峰の名です。山の高さを、吐く息が天帝の座に届くほどだと大きく言い表しています。李白は南斉の詩人謝朓を深く敬い、その詩をたびたび讃えました。絶景を前にして、それにふさわしい詩句を携えていないことを悔やむところに、詩人の豪気と謙虚さが同居しています。私たちも圧倒される体験の前では、自分の言葉の足りなさを知ります。その悔しさこそが、言葉を磨き続ける力になるのではないでしょうか。
この章句が説くこと
豪気詩李白風雅自然
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