酔古堂剣掃 / 集豪・杖を曳き腳を放つ
每飲村酒後,曳杖放腳,不知遠近,亦曠然天真。
新字:毎飲村酒後,曳杖放脚,不知遠近,亦曠然天真。
書き下し
村酒を飲む每の後、杖を曳き腳を放ち、 遠近を知らず、亦た曠然として天真なり。
現代語訳
村の酒を飲んだ後はいつも、杖を引きずって足の向くままに歩き、遠くまで来たのか近くなのかも分からなくなります。それもまた、からりと広々とした、天から授かったままの心持ちです。
解説
村の酒でほろ酔いになり、足の向くままに歩く気ままな楽しみを描いた一則です。放脚は、足の赴くままに任せて歩くことです。行き先も決めず、どれだけ歩いたかも気にせずに歩くうちに、心はからりと晴れて、天真、すなわち生まれつきの飾らない心に戻っていくと言います。曠然は、心が広々として何のわだかまりもない様子です。上等な酒ではなく村の酒であること、名所を目指すのではなく当てもなく歩くことに、この楽しみの素朴さがあります。予定と目的に追われる日々の中で、ときには目的地を決めずに歩いてみると、忘れていた自分の自然な心持ちに出会えるかもしれません。
この章句が説くこと
散策酒閑適天真自然
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