酔古堂剣掃 / 集景・濁酒一杯清琴數弄
結廬人徑,植杖山阿,林壑地之所豐,煙霞性之所適,蔭丹桂,藉白茅,濁酒一杯,清琴數弄,誠足樂也。
新字:結廬人径,植杖山阿,林壑地之所豊,煙霞性之所適,蔭丹桂,藉白茅,濁酒一杯,清琴数弄,誠足楽也。
書き下し
廬を人徑に結び、杖を山阿に植つ、林壑は地の豐かなる所、煙霞は性の適ふ所、丹桂に蔭ひ、白茅を藉き、濁酒一杯、清琴數弄、誠に樂しむに足るなり。
現代語訳
人の通う道のそばに庵を結び、山の曲がり目に杖を立てます。林と谷はこの土地に豊かにあり、霞たなびく山水は私の性分に合っています。紅い桂の木陰に身を寄せ、白い茅を敷いて座り、濁り酒を一杯、澄んだ琴の音を数曲。まことに楽しむのに十分です。
解説
山のふもとの庵での、ささやかで満ち足りた楽しみを描いた一則です。廬を人徑に結びは、陶淵明の飲酒の詩の、廬を結んで人境に在り、を思わせる言い回しで、人里から遠く離れすぎない場所に住むことを示しています。杖を植つは、杖を地に立てて畑を耕すことで、陶淵明の帰去来の辞にも見える言葉です。林壑は林と谷、煙霞は霞と靄で、山水の自然を指します。丹桂は紅い花をつける木犀、白茅は清らかな供物を包むのにも使われる白い茅です。濁酒一杯と清琴數弄を対にして、濁と清、飲むことと弾くことを並べ、これで十分に楽しいと結んでいます。多くを求めず、身近なもので満たされる暮らしの手本です。
この章句が説くこと
隠逸知足閑適自然陶淵明
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