酔古堂剣掃 / 集豪・意氣精神、磨滅すべからず
雲長香火,千載遍於華夷;坡老姓名,至今口於婦孺。意氣精神,不可磨滅。
新字:雲長香火,千載遍於華夷;坡老姓名,至今口於婦孺。意気精神,不可磨滅。
書き下し
雲長の香火は、千載華夷に遍く、 坡老の姓名は、今に至るまで婦孺に口せらる。 意氣精神、磨滅すべからず。
現代語訳
雲長(三国蜀の関羽)を祀る線香の火は、千年ものあいだ中国にも異国にもあまねく広がり、坡老(宋の蘇軾、号は東坡)の名は、今に至るまで女性や子どもの口にまでのぼっています。その意気と精神は、すり減ってなくなることがありません。
解説
関羽と蘇軾という二人の人物を挙げて、人の意気と精神は時を超えて残ることを讃えた一則です。雲長は三国蜀の武将関羽の字で、忠義と武勇の象徴として後世神格化され、関帝廟として中国各地はもとより周辺の国々にまで祀られるようになりました。坡老は宋の文人蘇軾で、号の東坡居士から東坡と呼ばれます。その詩文や人柄は広く愛され、名は女性や子どもにまで知られています。華夷は中国と周辺の異民族の地のこと、婦孺は女性と子どもです。武の英雄と文の英雄、どちらも権力や財産ではなく、その意気と精神によって永く人々に慕われています。人が残せる最も確かなものは、生き方そのものなのでしょう。
この章句が説くこと
意気精神関羽蘇軾不朽
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