酔古堂剣掃 / 集豪・道に當る豺狼を憂へず
丈夫須有遠圖,眼孔如輪,可怪處堂燕雀;豪傑寧無壯志,風棱似鐵,不憂當道豺狼。
新字:丈夫須有遠図,眼孔如輪,可怪処堂燕雀;豪傑寧無壮志,風棱似鉄,不憂当道豺狼。
書き下し
丈夫は須らく遠圖有るべし、眼孔輪の如し、怪しむべし堂に處る燕雀。 豪傑寧ぞ壯志無からんや、風棱鐵に似たり、道に當る豺狼を憂へず。
現代語訳
立派な男子は遠大な計画を持つべきです。その目の穴は車輪のように大きく見開かれ、堂に巣くう燕や雀のような小人物を不思議がるほどです。豪傑にどうして壮大な志がないことがありましょうか。その気骨は鉄のように硬く、道をふさぐ山犬や狼のような悪人を恐れることはありません。
解説
遠大な志と、悪を恐れない気骨とを備えた豪傑の姿を描いた一則です。前の句の処堂の燕雀は、家の軒に巣を作った燕や雀が、家が火事になりかけていることにも気づかずに安心しているという『孔叢子』の話に基づき、目先の安楽に満足して危機に気づかない小人物のたとえです。遠くを見る大きな目を持った丈夫には、そうした者たちが不思議に見えるというのです。後の句の当道の豺狼は、後漢の張綱が、山犬や狼が道をふさいでいるのに狐や狸を問うてどうする、と言って権臣の不正を弾劾した故事に基づき、権力をふるう悪人を指します。鉄のような気骨を持つ豪傑は、そうした悪にも屈しないと言います。
この章句が説くこと
立志気骨遠謀故事胆力
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