酔古堂剣掃 / 集豪・局上の山河
嶽色江聲,富煞胸中邱壑;松陰花影,爭殘局上山河。
新字:嶽色江声,富煞胸中邱壑;松陰花影,争残局上山河。
書き下し
嶽色江聲、胸中の邱壑を富まし煞し、 松陰花影、局上の山河を爭ひ殘す。
現代語訳
山の姿と川の音は、胸の中の山や谷をたいそう豊かにしてくれます。松の木陰と花の影の下で、碁盤の上の山河を争い、打ち残します。
解説
雄大な自然と、碁盤の上の小さな天下とを対比した一則です。前の句は、山の姿や川の音に触れることで、胸中の丘壑、すなわち心の中の山水が豊かになると言います。丘壑は山と谷のことで、胸中の丘壑とは、心の中に広々とした景色を持っていることを表し、画家や文人の器量をほめる言葉としても使われます。後の句は、松の木陰や花の影の下で碁を打ち、盤上の山河を争う様子です。碁盤の上の陣地の取り合いを、天下の争奪にたとえています。本物の山河を心に収め、小さな盤上で天下を争う。そこには、世俗の争いから離れながら、胸に天下を抱く豪者の姿があります。
この章句が説くこと
山水囲碁胸襟豪放自然
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