酔古堂剣掃 / 集綺・朱陽升りて花笑ふ
紛黃庭之靃霏,隱重廊之窈窕。青陸至而鶯啼,朱陽升而花笑。紫蒂紅蕤,玉蕊蒼枝。
新字:紛黄庭之靃霏,隠重廊之窈窕。青陸至而鶯啼,朱陽升而花笑。紫蒂紅蕤,玉蕊蒼枝。
書き下し
黃庭の靃霏に紛れ、重廊の窈窕に隱る。 青陸至りて鶯啼き、朱陽升りて花笑ふ。 紫蒂紅蕤、玉蕊蒼枝。
現代語訳
黄色い土の庭に草木がしげく入り乱れ、幾重にも続く回廊の奥深くに隠れています。春の日の道がめぐってくると鶯が鳴き、赤い太陽が昇ると花がほころびます。紫のがく、紅の花房、玉のような白いしべ、青々とした枝。
解説
春の庭園に花が咲き誇る様子を、四字と六字の句を連ねて描いた一則です。靃霏は草木が茂り乱れる様子、窈窕は奥深く静かな様子です。前の二句は、庭に茂る草木と、奥深い回廊に隠れるように咲く花の姿を描きます。青陸は、太陽が春に通るとされた天の道のことで、春の訪れを意味します。春が来ると鶯が鳴き、赤い太陽が昇ると花が笑うように開く、という句は、鳥の声と花の開きを、季節と一日の時の巡りに結びつけています。花笑うは、花が咲くことを人の笑顔にたとえた表現です。最後は花の各部の色を並べて、目に鮮やかな画面で結んでいます。六朝の賦のような華麗な文体で、春の生命の喜びを伝えています。
この章句が説くこと
春景花庭園自然艶麗
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