酔古堂剣掃 / 集綺・桃紅李白
桃紅李白,疏籬細雨初來;燕紫鶯黃,老樹斜風乍透。
新字:桃紅李白,疏籬細雨初来;燕紫鶯黄,老樹斜風乍透。
書き下し
桃は紅に李は白く、疏籬に細雨初めて來る。 燕は紫に鶯は黃に、老樹に斜風乍ち透る。
現代語訳
桃は紅く李は白く咲き、まばらな垣根に細かな雨が降りはじめます。燕は紫に鶯は黄色に映え、年を経た木に斜めに吹く風がさっと通り抜けます。
解説
春の色彩を、花と鳥と雨と風で描き分けた一則です。前の句は、紅い桃と白い李という花の色の対比に、垣根に降り始めた細雨を添えています。後の句は、紫がかった燕の羽と黄色い鶯の羽という鳥の色の対比に、老木を吹き抜ける斜めの風を添えています。花と鳥、雨と風、垣根と老木と、きれいに対になった構成で、四つの色が鮮やかに目に浮かびます。紅、白、紫、黄と色を並べる手法は、絵を描くように景色を組み立てるものです。春の景色は漠然と眺めると一色に見えますが、一つ一つの色を拾い出していくと、驚くほど豊かになります。身の回りの季節の色を、言葉にして数えてみるのも楽しいでしょう。
この章句が説くこと
春景色彩花鳥自然風雅
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