酔古堂剣掃 / 集綺・雪花を兔毫に浮かぶ
客齋使令,翔七寶妝,理茶具,響松風於蟹眼,浮雪花於兔毫。
新字:客斎使令,翔七宝妝,理茶具,響松風於蟹眼,浮雪花於兔毫。
書き下し
客齋の使令は、七寶の妝を翔らせ、茶具を理め、 松風を蟹眼に響かせ、雪花を兔毫に浮かぶ。
現代語訳
客間で召し使う者は、七宝の飾りをひらめかせながら、茶道具を整え、湯が蟹の目のような泡を立てるときには松風のような音を響かせ、兎の毛のような模様の茶碗には雪の花のような泡を浮かべます。
解説
客をもてなす茶の支度を、美しい言葉で描いた一則です。七宝の妝は、宝石で飾った装いのことで、茶を運ぶ侍女の華やかな姿を表しています。蟹眼は、湯が沸き始めたときに出る小さな泡のことで、茶の湯を沸かす目安とされました。松風は、釜の湯が沸く音を松林を吹く風にたとえた言葉で、日本の茶の湯でも使われる表現です。兔毫は、宋代に好まれた建窯の黒釉の茶碗で、兎の毛のような細い筋模様があるものを言います。その黒い碗に白い茶の泡が雪の花のように浮かぶ様子は、宋代の点茶の美しさそのものです。細部まで心を配ったもてなしは、客にとって何よりのごちそうです。
この章句が説くこと
茶もてなし風雅茶器作法
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