酔古堂剣掃 / 集綺・雪を烹るの茶
梅額生香,已堪飲爵;草堂飛雪,更可題詩。七種之羹,呼起袁生之臥;六生之餅,敢迎王子之舟。豪飲竟日,賦詩而散。佳人半醉,美女新妝。月下彈琴,石邊侍酒。烹雪之茶,果然剩有寒香;爭春之館,自是堪來花嘆。
新字:梅額生香,已堪飲爵;草堂飛雪,更可題詩。七種之羹,呼起袁生之臥;六生之餅,敢迎王子之舟。豪飲竟日,賦詩而散。佳人半酔,美女新妝。月下弾琴,石辺侍酒。烹雪之茶,果然剰有寒香;争春之館,自是堪来花嘆。
書き下し
梅額に香を生じ、已に爵を飲むに堪へ、草堂に雪飛び、更に詩を題すべし。 七種の羹は、袁生の臥を呼び起こし、六生の餅は、敢へて王子の舟を迎ふ。 豪飲して日を竟へ、詩を賦して散ず。 佳人は半ば醉ひ、美女は新たに妝ふ。月下に琴を彈き、石邊に酒に侍す。 雪を烹るの茶は、果然として寒香を剩す有り、春を爭ふの館は、自ら是れ花の嘆くを來すに堪ふ。
現代語訳
額に梅花の化粧をした人から香りが立てば、もう杯を酌むのにふさわしく、草堂に雪が舞えば、さらに詩を書きつけるのによいのです。七種の菜の羹は、雪の中で寝ていた袁生(後漢の袁安)を呼び起こし、六生の餅は、進んで王子(晋の王徽之)の舟を迎えます。一日じゅう存分に飲み、詩を作って散会します。佳人はほろ酔いになり、美女は化粧を新たにします。月の下で琴を弾き、石のそばで酒の相手をします。雪を煮て淹れた茶には、やはり冬の香りが残り、春を競う宴の館には、おのずと花も嘆息するほどの華やぎがあります。
解説
冬の雪の日から早春にかけての、文人たちの華やかな集いを描いた一則です。梅額は、南朝宋の寿陽公主の額に梅の花びらが落ちて跡を残し、それが梅花粧という化粧になったという話に基づきます。袁生の臥は、大雪の日に人に迷惑をかけまいと家で寝ていた後漢の袁安の故事、王子の舟は、雪の夜に舟で友の戴逵を訪ね、門前で興が尽きて引き返した王徽之の故事です。七種の羹は正月七日の人日に食べる七種の菜の吸い物を指します。六生の餅は出所がはっきりしません。雪と梅、酒と詩と琴、そして美しい人々と、冬の風雅を集められるだけ集めた一則で、集綺の華やかさがよく表れています。
この章句が説くこと
雪梅宴風雅故事
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